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コンピュータ関係をつぶやきます。世の中の役に立つことを書いていきたいです。

省エネスパコン「菖蒲(PEZY)」について思うこと。本当に使えるスパコンなのか

今日の日経で出ていた記事
 
 
という記事を見て、今読んでいる本
 
の会社PEZY COMPUTINGが理研と共同で開発したスパコンということを知る。
 
HPC JAPANの2015年8月31日の記事でも菖蒲のことが載っている
「理研・PEZYグループ 菖蒲で勝負する?」 (結論だけ言うと、理研は菖蒲では勝負しない。ということ)
 
記事を読むと、菖蒲は理研とPEZYの共同研究で短期間に構築されたシステムである。
2015年4月スタートで、モノの3か月で結果を出してたとは、PEZYグループの実力、恐るべし
記事を見ると、ベンチマークを行うには理研の牧野先生が協力した模様。
LU分解コードをPEZY用に書き直して利用した、と書いてある。

牧野先生のブログ
「122. PEZY-SC と「睡蓮」(2014/11/21)」
 
菖蒲はPEZYが独自開発した512コアのプロセッサを搭載しているようだ。
このプロセッサはIntelアーキテクチャには準拠していない独自のプロセッサと思われる。
つまりコンパイラも独自ににある。
オープンソースでよく用いられるGCC(GNU C Compiler)でビルドしたものも、
Intel社がエクセル経由で日本で販売しているIntel Compilerでコンパイルしたプログラムは
菖蒲では使えない。
 
科学技術用のスパコンは、ユーザが開発したアプリを高密度に動かすことが大事になる。
気象、物質、流体のシミュレーションを行うプログラムをスパコンのCPUとメモリをぶん回して、
ぎっちぎっちに詰め込んで計算し続けるのがスパコンの主な用途になる。
今までメンテナンスしてきたプログラムを態々書き直すことになると、PEZYのプロセッサを使うよりも、NVIDIAGPUを使った方がまだ生産的な気がする。GPUはCUDAで書き直せば動く。
CUDAを書くことも技術者としては少しハードルがある。
 
菖蒲は日経の記事を見て興味を持ったが、コンパイラがPEZYからも提供されておらず
一般にはまだ全く使える代物ではない。そのようなものを日経が「京の250分の1の省エネスパコン」と銘打って大々的に記事にするとは少し時期尚早ではないかと思わされた